2018年12月9日日曜日

映画感想メモ

*アラン・ロブ=グリエ レトロスペクティブ@出町座
12/8『不滅の女』
カメラの移動と画面の人物の目線移動がシンクロして、水中か夢の中のような妙に平坦で張り詰めた時間が流れていく。イスタンブールの情緒が夢幻的な艶かしさを増幅させる。意味ありげに繰り返し現れる伏線的要素は最後まで明らかにされることがなく、その判然としない感じは女の辿った運命を終盤で男が強制的になぞらされることの衝撃で打ち破られる。ただ受け入れるよりほかない、避けがたい悪夢のような暴力性。絵画のように静止した画面の中で服の裾や髪だけが風に揺れているのが好きで、園子温の『ひそひそ星』の荒廃した地球を少し思い出した。決して正体を明かさない謎めいた女は魅力的だけれどわたしはそうはなれないなあ、ていうか現実の人間のほとんどはなれないよなあ。と思いました。

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