ここは心象と言葉遊びの庭に建てた城だから、書いていることは事実と必ずしも符合しないことをことわっておく。誰にも向けられずただ一人遊びのためだけに生み出される言葉は、伝えたり伝えられたりする言葉は、あと一押しで告げてしまう瀬戸際で踏みとどまっている言葉は、どれもそれぞれに楽しい。告げた言葉がつくる自分と告げなかった言葉がつくる自分。告げなかった言葉を積みあげてつくる城。祝福と呪いが一体となるまでに考えつめているひとのこと。ずっとずっといつまでも、海の底みたいに青く揺蕩う光の中で生きていてほしい。煩わしい現実から隔絶されて、静かに連綿と続く美を愛して、自分の秩序に適うものだけに囲まれていてほしい。いつかそこを出なくてはならなくなったときには灯を吹き消すことを選んでほしい。そして本当のすべてが始まる前に、夜明けの光が射し込む前に、呼吸を止めてしまえ。
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